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みき先生ブログ「朝のひとり言から心を込めて」#2 ~歯科衛生士国家試験について~

こんにちは。

昨日3月7日は歯科業界関係にとって大きなイベントである歯科衛生士の国家試験が行われました。
Twitter上でも多くの学生さんが試験終了とともに感想をつぶやいていましたが、そのほとんどが「とにかくめちゃくちゃ難しかった」と「受かった気がしない」という第一声だったのでとても驚きました。その後に何問か問題を共有してもらうことができたのですが、実際たしかに難しいなと感じました。

わたし自身、県の歯科衛生士学校の教育に携わっている関係で毎年試験問題をチェックしているのですが、去年も相当難しくなってきたと思いましたが今年はそれ以上かもしれません。基礎系の問題(生理学や生化学など)は歯科医師の国家試験で出題されてもおかしくなさそうなレベルでした。少なくとも5年前くらいの問題とは比較にならないと思います。

僕が授業を担当している障害者歯科に関して言うと、近年どんどん問題数が増えてきていて5年前は全体の1割弱だったのに、今では3割近くが障害者、高齢者、訪問歯科診療、摂食嚥下障害のような特別な対応(スペシャルニーズ)を要する患者さんについての問題です。

毎年この分野の問題を抽出し授業で1問ずつ解説しているのですが、過去の問題は語句を記憶していれば選択できるような問題だったのに対し、最近は例えば検査方法ならなぜその人にその検査が必要なのか、今この状態の人に必要な訓練方法はどれかといったような、われわれが実際に患者さんを診て学ぶような知識を問う問題が多くなりました。

こうなると講師サイドも教科書の内容をただ説明するだけでなく自身の臨床で得た知識を伝えていかなければなりませんが、実際に患者さんに触れたことがない学生がその話を具体的に頭の中で想像するのは容易ではありません。そうなってくると実習時間をもっと増やす、経験できる場を増やしていくなどが改善策なのでしょうが、最近2年制から3年制に変わったばかりの歯科衛生士専門学校課程が4年制になったりすると志願者が減るのではないかと危機感を感じてしまいます。ただでさえ歯科衛生士不足が叫ばれているのに。

ただなにも国家試験を簡単にしてほしいと言っているわけではありません。スペシャルニーズの問題が増えてきていることは、現代日本が直面している超高齢社会やノーマライゼーションを意識した社会生活が反映されているからですし、問題が難しいということはそれだけ医療者としての責任を求められているということです。僕たち講師陣は学生たちが将来の自分たちの姿がはっきりと見えるような話をし、真の医療者としての知識や自覚を伝えていかなければいけないと思っています。

でもまぁとりあえず、学生さんたちおつかれさまでした!ゆっくり休んでくださいね!!

現場でお会いすることを楽しみにしています!

 

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